メモ帳

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読書「誰のためのデザイン?」

読んだ本の紹介。

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

この本の主題ユーザ中心のデザインについてであり、とてもよいものです。 何かものを作ってる人にはすべからくオススメしたい本です。

書いてある内容の大半はある意味当たり前のことでもあるのですが、その当たり前が出来てない人にはもちろん役に立ちますし、 出来てる人にもこの一冊で大事なことは大体網羅されてるので、復習がてらちょいちょい見直すのに便利です。

単純に読んでて面白いので、長くても(400ページくらい)あんまり中だるみしないところもよいです。これは人によるかもですが。

特にデザインを行う上で、下記四つの事項がしっかり守られているかというのは大変わかりやすい指針であり役に立ちます。

  • 可視性
  • よい概念モデル
  • よい対応づけ
  • フィードバック

アフォーダンス」という言葉が広まったのもこの本がきっかけなんじゃないでしょうか。 しかしこの本での使い方としてはあまり正しくなかったと、著者自身が後で言っております。

正確には「知覚されたアフォーダンス」であり、現在では「シグニファイア」という新たな言葉で再定義されていますね。 この件については下記サイトがとてもわかりやすく解説してくださってます。

アフォーダンスからシグニファイアへ - A Successful Failure

最後に、この本の中で個人的にとても痺れた部分を引用して終わらせていただきます。 悪いのはユーザではなく、デザインであるという意識を持たねばなりません。

あるいは、普通の数学のカリキュラムを考えてみてほしい。 そこでは、容赦なく授業は進められ、新しい単元に入るときには、 それまでに学んだことのすべてを学生が理解していることを前提にしているのである。 一つひとつは簡単だったとしても、一度落後したら追いつくのは大変だろう。 そして、その結果数学嫌いが一人誕生する。 それは、教えられる題材が難しいためではなくて、ある段階において困難が生じると、 それ以降の進歩をはばんでしまうようなやり方で教えられるためなのだ。 いったん失敗すると、自分を責めるということによって数学一般にすぐ般化してしまうことが問題なのである。

同じようなプロセスが技術の分野でもよく見られる。悪循環は次のように始まる。 何かで失敗したとき、それは自分のせいであると考える。そのため、その作業は達成できないと思う。 その結果として、次にその作業をしなければならなくなっても、できないと思うのでやってみることさえしなくなる。 その結果、あなたが思った通り、できない。 こうして、あなたは、自分が予想した通りのことが、まさに予想したことによって実現してしまうという自己成就予言のわなに落ちてしまうのだ。